Last Message


我が子よ…
よくお聞きなさい。


これからあなたに話すことは…とても大切なこと。
わたしたちが、ここから始める…
親から子へと、絶え間なく伝えてゆく…
長い長い…旅のお話なのですよ。



この星はまだ、歩きはじめたばかり。
だからわたしたちはここに生まれた。


わたしたちは無限に記憶を継いでゆく。
この星で起こるすべての事象を見聞き、母から子へと受け渡していく。
つまり、それはこの星の記憶。
わたしたちは、星の記憶を司るものなのです。


星の記憶は、永遠に幸せでなければなりません。
憎しみや争いで空が覆い尽くされた時。
この星は嘆き悲しみ、あらゆるものを生み出した己を忌むことでしょう。
全ては混沌に戻り、そして無に帰すでしょう。


だから、わたしたちは幸せであり続けましょう。
大地や空や海に暮らす者たちすべてに、無限の恵みをもたらすよう…
それこそが、わたしたちという種の役目。
忘れることを許されない、わたしたちの誇り。


多くの困難が、行く手には待っているでしょう。
辛いことや悲しいこともあるでしょう。
時の流れに立ち向かえるほど、わたしたちは強くもありません。
わたしたちもいつの日か、滅びる時を迎えるでしょう。
それは、避けようのない結末。


けれど、最後は…
星の記憶を担う最後の子には…
どうか、幸せな記憶を。


その時こそ…
わたしたちは役目を終え、眠りにつけるのでしょうから。



別れの時が来ました。



わたしは空に届けます。
この星の最初の記憶を。
あなたと暮らした、幸せな日々の記憶を。


悲しむことはありません。
わたしはいつまでも、あなたと共にあるのです。
雨粒が大河となり、そして海に集まるように…



だから…



あなたには、あなたの幸せを。
その翼に、宿しますように。




Epilogue